2009年5月3日日曜日

もしもバルサが会社なら:今節のサッカーより

伝統のクラシコがよもやの2-6でバルセロナが一方的に勝利という形で終わった。
フアンデ・ラモス監督にはバルセロナ対策に2つのお手本があった。引いて守るという
チェルシー(CL準決勝第1試合:0-0)案をとらずに、既報通り攻撃的な素早い
チェックでカウンターというバレンシア型を採用した。先取点を取るもののその後3点
返され、さらには2-4となった段階で、選手にもサンチャゴ・ベルナベウの観衆にも
もはや戦意が残ってなくて、後の2点はおまけのようなものだった。結果として
ノーガード的な戦いに終わってしまった試合、フアンデにとって予想外のシナリオでは
なく、想定されたうちの最悪のシナリオだったに違いない。攻撃の軸を相手の弱点の
左サイド(アビダル)に当て、ロッベンとセルヒオ・ラモスで右サイドから攻めあがる
ことは有効だったが、結果としてバルセロナの左の攻撃スペースをアンリに受け渡して
しまった。ちなみにレアル・マドリードの各得点の直後(4分後、2分後)に
バルセロナは得点を返していて、その2点はともにバルセロナの左サイドから
アンリによる。自身のヘディングで2点目を決めて、直後にアンリに決められた
セルヒオ・ラモス。しかも前半の早いうちに1枚イエローカードをもらってしまい
アンリへフィジカルなディフェンスができなくて易々と抜けられるシーンが何度も
あった。つまり試合はまるでセルヒオ・ラモスと心中をしたような呈そうだった。

同様に世界を代表する超攻撃的右リテラル(サイドバック)である、相手方の
ダニエウ・アウベスは試合が「成立っている」間は非常に静かだった。非活性な逆
サイドのため画面にはほとんど映し出されなかったが、レアル・マドリードのアビダル
狙いがわかった後バルセロナはセンターラインの左よりのイニエスタ、プジョルを
より左サイドの守備に充てていたのは見て取れたので、ダニエウ・アウベスはより
センターの守備意識でポジショニングに努めていたことが容易に想像できる。簡単な
事のようだがチームが個人主義や形骸的な機能主義に囚われている状態では相互理解に
基づいた状況判断は生まれないし、リテラシとしての戦術眼が低いと、相互理解の場の
次元も高まらない。試合が「崩壊」した後、解き放たれた彼はサイドハーフ付近で
例によって高いボールコントロールで相手ファンをいらいらさせ、追加の2点のビルド
アップにも貢献した。

バルセロナのグアルディオラ監督の頭の中にはバルサの選手であるための要件として
相互理解力とそれを支える戦術眼を重要視しているのは明らかだろう。形骸的な
機能主義に陥っているのは他のサッカーチームだけではなく、世界的な企業の傾向かも
知れない。グアルディオラ思想の中で選手が学んだことから、企業の営みに活用できる
ようなポイントを探しだすことは、以前、日本人がオシム前代表監督に求めたような
「組織改革のためのネタ探し」と同程度以上には価値があることかも知れない。
理想のマネージャ像へのアンケートにグアルディオラの名前を挙げる人なんて日本では
まずいないだろうけど。もしリーガだけでなく、チャンピオンズリーグ、国王杯の
3冠を達成したら、多少票は増えるのかな。

0 件のコメント:

コメントを投稿