2009年4月15日水曜日

初物には止まらない:今節のサッカーより

またもやレギュラーシーズン以外からになります。
AFC、CL、レギュラーシーズン共に大量得点が多かった今節だが、やはり
バルセロナ-バイエルン戦(バルセロナが4-0で勝利)を取り上げないわけには
いかないだろう。

試合の鍵となったのは、一言でいうとバイエルンのセンターバックの出来、特に左側の
若い(19才)ブラジル人プレーヤー、ブレノの動きだった。チェックをあせり、ある
時にはボールウォッチャーになり、その混乱がそのままバルセロナの得点シーンへと
つながっていったのだから、本人も試合後相当ショックを受けたのではないだろうか。

ただ、言うまでもなく、CLの8強チームの一角をそこまで貶めたのは、バルセロナの
異質なまでの連携力と個人技の高さであろう。
といっても、バルセロナがものすごく引き出しの多いチームかというとそういうわけ
ではなく、連動の速さがあまりにも異質なので、精神的に「ゾーン」に入った状態の
試合中の選手にとっては、経験上からくる本能的な対処ではもはや追いつかないもの
を見せ付けられる感覚なのだろう。そのあたりが、リーガでは決して毎試合4、5点を
取るわけではないことの理由かも知れない。つまり、ある程度冷静になれば予測と
対応も可能ということで、今回バイエルンになかったのはその部分だ。

ここで素人の目からも「定型化」している、と見えるバルセロナ右サイドの攻撃
パターンなどの分析を少々。

(1)メッシの鋭角にセンターへ切り込むドリブルとその後の個人技
「お前は本当に素人だ」という声が聞こえてきそうだが、実際メッシ自身が一時期
バルセロナが低迷している時期に、自分の個人技をもっと利用すべきと発言している
ことは、彼の「個人技」はチームプレイの立派な基点となっていることの表れだ。まず
ドリブルがうまい彼に対して、チームディフェンスが準備できていない状況でむやみに
タックルに行くのは愚の骨頂だ。もしその「愚」を試みるものには重心の低い
ドリブルで抜けてシュートを打たせるか、ファールを犯すかの究極の選択肢を選ばせる
ことになる。普通の相手は、その愚行を犯さないとわかっているメッシはサイドへの
上がりを待つための間を、自分が人よりも少し多く稼ぐことができるから前述のような
発言になるのであって、決して鼻高々なわけではない。
この時点でセンターにはエトー、左サイドにはアンリがあがっているので、メッシへの
チェックは左CBと左SBが行う、と考えてくれるとバルサは右SBのダニエウ・
アウベスのスペース占有がより簡単になる。そう、リーガ的な回答としてはメッシが
鋭角なドリブルを始めたら、ピボーテ(ボランチ)位置が下がって左CBと一緒に
チェックする、のほうが正しい。ただしそれとて、シャビ、グジョンセン、そして
イニエスタといった攻撃型ミッドフィルダーをチェックしながらではあるのだが…。

(2)ダニエウ・アウベスの戦術眼と精度の高いクロス
(1)の段階でセンター、逆サイドのエトー、アンリへと流れていくのと同じ割合で
WFへと豹変したダニエウ・アウベスが使える。ただクロスがうまいだけのSBには、
ポールに追いやって、クロスを打たせたほうがディフェンスの準備も間に合って良い、
と考える守備感がひょっとしてはやりかも知れない昨今、手前からどんどんミドルを
うってくるダニエウ・アウベスの存在はパワーゲーム的だ。だが、挑発にのって、左
CBが彼のチェックに戻ると…。

(3)怒涛のアタッキングサードと真のフォーワードの2人
ゲームによってはフォワードもつとめる攻撃ミッドフィルダー陣はまだ、ここまで参加
していないのだが、ここでアタッキングサードとして、翻弄されるディフェンダーの
間を狙いはじめる。だが、同様に2人のフォーワードもここまでだまっていたかと
いうと、そうではなく細かな裏への動きを左サイドで繰り返しているのだ。2対2
のところに、アタッキングサード1名加わるだけで数的優位が完成する。バルセロナの
本当に凄いところは、もぐらたたきの時間切れ間際のような全員が飛び出してしまう
ような間の悪るさがないことだ。まるで人の強烈シュートがはじかれたおこぼれを
狙うほうがよっぽどおいしい、とわかっているハイエナのごとく。。。


で、しかし、先の通りバルサが毎試合大勝しているかというと決してそうではない
ところがミソ。メンバーを落とすと連対率が落ちるとはいえ、リーガの中では研究
され、対処できているのも事実だ。だからバイエルンにもセカンドレグではぜひ意地を
見せてほしいと思うのだ。

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