2009年4月27日月曜日

集団意識の力と危機管理

JR西日本福知山線脱線事故の惨事から4年たった。JR西日本の過度な日勤管理
による運転士へのプレッシャーを直接原因とするとならば、ミスを発生させる温床と
なった余裕時分のないダイヤ管理のプレッシャーは皮肉にも鉄道利用者がかけたもの
でもある。誰も「JRも、とろとろせんと」と声を掛けること(発生地域は阪急電鉄との
激しい競合路線)が後日100名以上もの命を奪う大惨事の後押しをしているとは努々
思わず暮らしている。マクロで見ると、公共サービスのあり方は、目に見えない大きな
フィードバックループで形成され、一端にはかならず利用者が存在する。、見かけ
現状に不満があるとしても、それは以前の利用者の要望を一定量満たしている、と
言い切ると横暴だろうか。

リーマンショック以来、危機という言葉の意味が変わってしまったため、下火になった
が、一時期BCP(Business Continuity Planning:
事業継続性計画)が流行った時期があった。大まかにいえば、事業の中でクリティカル
パスとシングル・ポイント・オブ・フェイラーを見つけ出し、その対策を行うこと
により事業の継続性が保証されるようにすることである。その際、先のフィードバック
ループの論理の通り、利用者への対処如何により自身の事業の継続に影響を与える
要素もできるだけ施策選定に組み込まれることが望ましい。
だが、一般の「カイゼン」活動的感覚でBCPに取り組んでも、不買運動や過度の
期待、キーマンの失言、さらには生理的な悪感情によるサービス購買の停止などを
事前に察知し、予防していくことは非常に難しいのではないだろうか。例えば日本の
「ビジネスコンサルティング」と呼ばれる独特の改善手法は既知の組織とべき論に
基づいたハードウェア的発想を用いるので、暗黙知やマーケティング、購買者との
対峙の変化などソフトウェア的なものを取り扱うのは不得手だ。BCPにも似たような
性格があると見て取れる。

さて関連して、週末を賑わしたもう一つの「事件」から。
集団の賛同を得てスターダムにある特定のタレントの言動が本当に、数十億円以上の
経済損失を与え、公安のありかたや特定の政治家にプレッシャーを与えうるものならば、
広告システムや芸能のあり方も現代の危機管理を難しくする大きな要因なのでは、と
思う。

…と、とってつけたようなオチ、ご容赦のほど。

1 件のコメント:

  1. ちなみに、危機の発生時点を境にして、危機管理には予防措置の側面と早急な事後対応の側面があります。上記で取り上げている危機管理は前者になりますが、後者の集合から前者を予測するエキスパートシステムは多く存在しますし、いわゆる経験則とはこのフィードバック活動になります。

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