2009年4月20日月曜日

先に流した涙ほど?:今節のサッカーより

ご承知の通り、浦和が若手とブラジル組の活躍で好調だ。特に17才の原口がFW
ポジションながら(登録はMF)センスの高いサッカーを披露していて、将来がとても
楽しみだ。前節の名古屋戦でチーム最年少ゴールを踏まえて2試合連続先発となった
今節も、少なくとも2回は決定機を作るなど、お膳立てというFW能力の半分の部分は
大部完成されている感すらある。今節の京都戦ではもう半分の部分、得点を取る作業
では結果をだせず、58分には高原と交代させられてしまったが、その後が今日の
話題。
前半のエジミウソンの得点で1-0とし、しかも試合の流れはその点差以上に優位
だった浦和だが、交代を告げられた原口はまるで、自分のゴールが決まらずにチームが
負けてしまったかのように、悔しさと自身へのふがいなさを顔いっぱいにためて
ベンチに下がっていった。フィンケ監督はとても彼を温かく迎え、それはベンチに
座ってからも、チームメートなどによって続いたが、テレビの画面は顔を覆い、下を
向いたままの原口を続けて映し出していた。
このシーンを見て、リーガエスパニョーラのある試合の1シーンを思い出した人も少なく
ないのではと思う。
昨シーズン、バルセロナの最年少ゴールを塗り替え(17才5ヶ月)、カップ戦を含め
35試合に出場し10ゴールを決めたボージャンは、今シーズンはフレブの加入や
イニエスタのWF起用もあって公式戦の先発としては全く使われない日々が続いた。
そんな彼がグアルディオラ監督の元、初先発となったのが2008年11月23日の
ヘタフェ戦。メッシの負傷でやっと得たチャンスも空回りか、センターへの切り込みを
狙ってはボールが繋がらず、を繰り返し結局55分には休養で先発をはずれていた
アンリと交代させられてしまう。本当にいいとことなしで終わってしまったボージャン
は顔を真っ赤にピッチをあとにし、ベンチで本当に涙を流した。
後にグアルディオラが、チームに対して「メッシのようにプレイをするな」と発言した
時、当時はメッシ批判ととられたが、最新のインタビューでは「メッシのような唯一の
存在を真似ようとしてもしょうがない」と言い換えている。今思えばこれらは
ボージャンのことを指していたのかも知れない。

良く、涙の数ほど…、という例えで、できるだけ早いうちに涙を流す思いをした方が
良いとされる。

ボージャンはその後のインタビューで「バルサの21人(22人?:リーガ
エスパニョーラではシーズン出場選手は事前登録制で25人からGK登録を抜いた人数。
自分の分を1名抜いているのかも)に入るだけでも名誉なことなんだ」と自身の控えの
立場を理解するコメントを残している。最年少ともてはやされ、翌年5~6番目のFWで
ある現実をつきつけられ、失敗し、涙を流し、それでも立ち直ろうとしている
ボージャン。そこからすると、原口の「涙」は少々早すぎやしないか。

今シーズンの浦和からすればACL出場もあるだろう。高原が復活し、ローテーション
のための第3フォワードが来ることだってあるのだ。その時に、自分のコンディション
とは別に出場機会が少なくなったとき、あせり、さらに努力し、成長し、という時に
耐性が無いようでは困る。17才の若者にそのような期待の掛け方は間違っているかも
知れないが、将来日本を代表する逸材への苦言として許してほしい。

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