2009年3月26日木曜日

IBMにとってのシェアとは:IBMのSUN買収に関して

先週IBMによって発表されたSUNの買収意向については、今朝の某ニュースサイトにある
投稿記事にもあるように、外部の者としても、IT従事者としてもいろいろと興味がつきない
ところだ。

新聞系など、経済を中心に捉える向きはハードウェア市場シェアになぞらえて、今回の
買収をHPへの対抗と見ているようだ。確かにシェアは製造業にとっては重要な経営指標で
あるし、昨年あたりから、IBM国内法人でも、サービスカンパニーが総合商社的にサード
パーティ製品を販売する戦略を少し自社製品よりに修正していくような指針が出ていたりも
していたので、「商材」としてのハードウェアの拡充を狙うというのは無理のない見方かと思う。

でも、ここでは少々違う見方を。

  • 果たして、IBMは今でも製造業なのか
ビジネスコンサルファームを備え、国内だけでも有数の大規模ERP導入経験を持ち、多くの
ソフトウェア企業を買収してきたIBMは、CISCOが自身を「ソフトウェアカンパニー」「サービス
カンパニー」と称するよりは、「それ」らしい企業だろう。逆説的に言えば、正直市場の中で
圧倒的にマイノリティであったIBMのUNIXハードウェアがそれらサービス戦略の足を
引っ張ったことはなかったし、これからもハードウェアに軸をおいて、手持ちのソフトウェアを
そこに無理に適合させていくような戦略はとらないだろう。
  • SUNは果たして買いの「製造業」か
こちらもはなはだ疑わしい。知り合いもおり、コメントをしづらいところもあるが、主軸である
サーバ機に関し、ハードウェア進化、OSの進化ともに難しい局面にあることへは賛同
いただける方もいると思う。内部は限りなくインテル系との共有化が図られているし、IBMに
してみれば利益のでないノートPCをレノボに売却して直ぐのこと、エントリレベルの
ハードウェア技術の再拡充を図るにしても、SUNに期待するという選択肢はないだろう。


そこで、と考えると、シェアはシェアでもマインドシェアがキーワードではないか、と思うのだ、
今回の買収劇の背景は。

この手の大型買収で、マインドシェアなどとは軽々しい、と怒られる方もいるかも知れない。、
いつまでたっても「製造業」のレッテルから逃れられない恐竜企業にとっては自身の血の
めぐりが悪くなることが一番の危機感であるとしても不思議ではない。かといって、GEの
ケースが示すようにサイロ化した多角事業展開は経済危機を乗り切るためのシナジーとは
ならないことを露呈した。そこでの、同系列の事業の中で、未来に残る遺伝子を持ち、
東海岸的で、堅気な性格と異なる個性を持つ自身とは反対の性格の血を自身に取り込む
ことで、企業の幅を広げ、まだ見ぬ何かを生み出すことに大いなる期待をしているのでは
ないだろうか。

具体的にはDBビジネスで考えるとわかりやすいかも。売上ではDB2が断然上だが、市場
でのマインドシェアはMySQLに軍配があがる。買収後も双方を保つことができれば、ブランド
戦略において優位に働くことはとても判りやすいシナリオだ。そしてJavaの幹でもあるSUN。
企業としては買収される側でありながら、スコット・マクネリーが心地よくOKするスペースが
あるとすれば、それは無償ソフトウェアのビジネスの中にマクネリーが描いていた未来を、
IBMが最後には必要としたという昇華の形での結実ではないかと思うのだ。

もっとも買収されたとたんMySQLにしても、

IBM WebSphere DB2 for Simple Small/Medium Business formerly known as MySQL

などと改名されちゃうかもしれないけどね(笑)。

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