2009年3月28日土曜日

本日バーレーン戦キックオフ

いよいよ本日バーレーン戦ですね。世間でも話題になっている年間2勝2敗という
結果は定量的な実力の差が拮抗しているというより、プロレベルでのこの少ない点の
取り合いのスポーツは、試合の質を決定づける要素がとても多く、絶対、というものが
少ないことのいい例だと思う。
逆にその考え方で見てみれば、FIFAランキングなどの順位付けは、過去の戦績の
見方でしかなく、一意に現在の力を示すものではないということだ。著名な地域の
国際Aマッチ相当大会では前哨のリーグ戦と決勝トーナメントの組み合わせで構成
されている。前哨トーナメントからノーガード的に臨んで勝ちあがれるチームの
ランキングは高くなり、一方最終的に決勝トーナメントに出場することを目標としている
チームが、ラッキーにも優勝したとして、それほどポイントを稼げないケースも出てくる。
で、当たり前だが、FIFAランキングの順位よりもトーナメント優勝の価値の方が
ずっと高い!なので、マスコミには冠にFIFAのランキングをつけてのチーム紹介や、
ましてやランキングを使っての「格付け」的表現は、国民・選手への間違った陽動
行為となりかねないので、ほんと、止めてほしいんですが…。

ところで、試合前のマチャラ監督のインタビューからは、バーレーンは4月1日に開催
されるもう1試合のカタール戦とセットで今回臨んでいることがうかがわれる。もちろん
現在戦っているグループ1で2位以内に入れば自動的にW杯出場だけど、3位で
終わったとして、グループ2の3位とのプレーオフを経て、もはやオーストラリアの
いないオセアニア地区とのプレーオフに勝つ、という望みあるパスも残されている。

「ならば日本戦に手を抜くので、日本は楽に勝てますかね~」

はるばるアジアの東の果てまで来て、年間4度のうち2勝している相手に、すんなりと
負けてしまうと、プレッシャーや外部の批判などから、4日後に控えるさらに重要な
試合での選手のモチベーションに影響が出る。さて、どうするか。自分がマチャラ監督
なら日本戦に向けて3つの目標を与える。

「ディフェンダーは玉田、田中、大久保へのマークを徹底すること」
「ミッドフィルダーは相手パサーから相手フォワードへのパス供給のカットに集中すること」
「フォワードは前線に残り、常に良いポジショニングに務めること」。

内容に関する細かい話は置くとして、重要なのは結果如何にかかわらず、この3つの
点を日本で達成することが、バーレーンサッカーの現状と未来にとってとても大切で
あることを選手に信じこませること。結果、日本のミッドフィルダーの得点やセットプレー
での失点で0-3で負けるかもしれないけど、目標を達成する限り、監督として選手に
賞賛を与える。そして知る限りではイランやイラク、UAEなどの大陸的な国民性と違い、
少数の国民でなりたつバーレーンにはそれ(状況判断や目的意識に重点を置く
考え方)を受け入れ、理解するリテラシーが備わっているように伺える。これは
プラスポイント。

「そのことと日本の勝敗は直接関係ないですよね」

だが、日本を含む東アジアの国民性は「一戦必勝」好みで、選手は各試合で常に
「点」でのプレッシャーを与え続けられる。ましてやグループトーナメントであるに
もかかわらず、冒頭に書いた試合要素の中に「一戦必勝」というメンタリティーを
押し付けられるのは、試合を始める前から不利を背負っていることになる。今回
さらにバーレーン側には心の安寧(ほかにいい言葉が浮かびませんでした)が
備わっていて、その不利が大きくなっている可能性だってあるのだ。

NHK BSの「世界のサッカー情報」などを見ていて思うのは、世界の著名選手や
歴史的選手は、自身の一瞬のプレーも自身やクラブ、チームが持つ時間軸の中で表現
ができること(たぶんに番組編集の仕方もあるとは思うが、それならば番組製作元の
ブラジル(?)のサッカー感がそうだということだ)。日本人のサッカー感にはプレイヤー
にも見る側にもまだそこまでの高い意識が育っていないし、そのことが代表選手を萎縮
させてしまっている「だけ」なのかも知れない。

かたや、野球はというと、日本の野球感の中に、プレーオフ制の大幅導入や、WBCの
感動、米国大リーグへの理解、巨人一極集中からの脱却などによって個々の選手にも
時間軸を理解した次次元の戦術眼が芽生えてきはじめているように見える。名将星野
監督の「失敗」を、一戦必勝スタイルの終焉とも捉えられる。それも急激な変化であり、
野球そのものの歴史の長さとは関係がないことも重要な点だ。

オーストラリア戦後の段階では、まだまだ代表を巡る日本人のサッカー感に「一戦必勝」
意識が根強いことが示された。だが、大トーナメントであるJリーグも開幕し、AFCでは
日本勢もほぼ順調に勝ち進む中、「8試合のトーナメントの中で終始安定して順当に
勝った平均的な試合」と後に見られるような試合を是非是非見せてもらいたいと思う。
そのことによって、後に「一戦必勝」の呪縛から選手や関係者が解き放たれることが、
勝ち点3と同等に重要なんではないだろうか。


でも、今日に限っては勝たなきゃ始まらないのだ。どうでもいいから勝ってくれ、と心の
奥底が叫んでいるような(笑)。


#テレビ朝日のサッカーへの報道編成スローガン「絶対に負けられない試合がある」
#というのを全ての国際マッチ報映機会ごとにジングル的に使うのはどうも
#いただけない。論理的にはテレビ朝日はW杯優勝でも狙うのか、ということに
#なるし(笑)、あとは正直…(これがテレビ朝日の本論だろうけど)「悲劇」「歓喜」を
#日本の代表サッカー応援の軸とすることは、もはやマスメディアとしての現在の
#多様性への追従の悪さを、典型的に露呈しているように見えるのだけど。このあたり
#はどこかでもう一度。

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