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2009年6月1日月曜日

キリンカップを終えて:サッカーの話題

中村俊輔不在でチリに4-0と大勝した試合を受け、彼が復帰するベルギー戦では
ひとつ違ったものが出て来るだろうと期待していたのだが、それは中途半端に肩透かし
を喰らった形となった。結果は同じ4-0での勝利。俊輔は前半のみ出場(前半は
2-0)。

正直を言うならば、心の中でドイツW杯の中田英寿の立場と同じような「お局」的
立場に俊輔は置かれているという仮説を立てていた。年齢に限らず、パサー型の司令塔
が突出した名声とチーム内の発言力を持ち始めると、その選手がボールを持った瞬間に
自分のチームと相手チームが硬直するようになり、試合の流れが分断されてしまう。
かつてビジャレアルのペジェグリーニ監督がリケルメを排除したのもそのような理由
だろう。
見落としがちな事実だが、パスサッカーを成功させるためには4人~5人の前線の選手
がパスの出し手と受け手の両方の役割を流動的に担わなくてはならない。出し手の中心
と目される選手が1人いて、味方がその選手のウォッチャーになってしまうと、ボール
の流れは平凡なスター型の構造になってしまい、相手を惑わす機動力は生まれない。
以前バーレーン戦でのマチャラ監督の戦術のところでもコメントしたが、ボールを
持った特定の選手にコンタクトすることも重要だが、その選手がボールを持ってから
動きだすフォワードのプレーヤーをマークし、パスカットか、(日本のフォワードは
正直収まりが良くないので)ボールトラップの体から離れたボールを狙うほうが安全で
効率的なディフェンスが行える節がある。

ここからは単なる勘ぐりなのだが、岡田監督はとうにそれに気づいているのではと。
当面のゴールであるW杯出場に向けたギブン・コンディションとしては自軍の俊輔
ありきのセットプレーでの得点力と、もはやアジア内で対日本戦略として定説化して
しまっている相手へのドン引きからカウンターへの対応の2点がまずありきで、少ない
得失点でいかに勝ち点を上げていくか、というのが就任直後4-1-3-2などの
超攻撃型フォーメーションを試した後の結論だったのではないだろうか。

一方で、常にその定点の上位となるの次の一手を探しているはずだ。まず手始めに
手掛けたのが右サイドに対する左サイドを対等なレベルのシステムに作り上げること
だったと思う。そこで遠藤を高めの左サイドハーフに置いたり、ある時は本来後ろ目の
安田を同様の位置で使用し(ガンバ大阪の西野監督がその起用法を揶揄をするという
一幕もあった)、という試行錯誤を経て、現在はどの選手を左サイドハーフで起用
しても左右・センターのポジションチェンジがスムーズに行われるまでになり、サイド
機軸の攻撃のバランスはある程度完成されたように見える。ある意味寄せ集めの代表
チームがそのようにスタイルを完成させることは難しいと思うのだが、日本代表の選手
たちはやり遂げた。が、それでも得点力の強化にはいたっていない(ベルギー戦後の
大久保へのコメントなども参照の程)。

事前にドン引きをお願いしても(?。来日後の湘南との練習試合で4バックを非常に
フラットな状態で臨んでいたのでひょっとして、と思っています)5-1と大勝した
フィンランドとの国際Aマッチのあと、案の定オーストラリアと0-0、バーレーンに
かろうじての1-0と渋い展開が続くなか(ちなみによくある相手が2軍だから大勝
できたという議論は一方的な云いようだ。その例えでいくならば、相手から見て欧州組
がいない状況はこちらも2軍なわけで)、監督ならずともその落差の理由を求めるな
というほうが無理な話だろう。そして岡田監督はセンターラインの得点力の「実績」
としての中村憲剛の価値を公言し始めた。それを踏まえての今回のキリンカップで
ある。

憲剛への命題は「ジェラードのようにプレイをする」ことだった(俊輔へ「ベッカムの
ようにクロスを上げてくれ」とは言わないだろう…云々の議論もここではさしおく。
経営者目線では、具体的なコンテキストの共有ほど効果がでやすいものだ)。
イングランドサッカーの伝統であるシンプルな4-4-2スタイルの中盤の至宝である
ジェラードの特長は、攻撃においても守備においても軸になる、という点だ。パワー
のあるミドルシュートの決定力やフォワードへのラストパスと同様の集中力を相手へ
のタックルにも払うサッカー。果たして今回の憲剛、特に攻撃面ではその文脈を
理解したサッカーができたのではないだろうか。

さらには副次的な効果も生み出している。特にチリ戦ではボランチ位置の遠藤、
長谷部を相手ディフェンダーの視野から消すスクリーン的な効果があったように見える。
またセカンドアタックのラインを今野、駒野なども交えながらうまく形成していた。
攻撃時に2-2-3-3となった際に後ろの4人が阿部、中澤、長谷部、遠藤だなんて
とても贅沢なサッカーとさえいえるのではないだろうか。

この2-2-3-3的攻撃陣形をベンチで見ていた内田は思うにベルギー戦で困惑
していた。これは俊輔のコメントからも見て伺える。俊輔からするとチリ戦の戦い方は
走力を重視しない「真剣みのない」サッカーと写るようだ。岡田監督もベルギー戦の
2-0以降は俊輔と同様の意見を持っているようである。ただ岡田監督が今回のキリン
カップを明確なBパターンと捉えていたのに対し、俊輔は同列で扱うことにも否定的な
様子だ。電話会議などの可能性を除けば、このBパターンについては事前に岡田監督と
俊輔は正式な会話を行っていないだろう。岡田監督は憲剛の扱い、という形に
置き換えてこの議論を不確定なものとしている。ウズベキスタン戦までのこの6日間に
岡田監督と俊輔の間でどのような話し合いがもたれるか、非常に興味がある。
自身がもたらすお局サッカー化を回避するために、走力重視を主張するだけでは俊輔側に
良い条件が少ないように見える。それとも最後には中田英寿と同じようにW杯の最終戦
終了後、1人孤独にグランドで感傷に耽るのだろうか。

どころで、チリ戦の長居のファンは純粋にサッカーを楽しんでいる様子でよかった。
テレビのマイク集音の仕方だけなのかも知れないが、ゴール裏のチャントだけでなく、
ちょっとしたプレイにざわめき立つような応援(「オーイ!」ですね)はあの試合に
相応しかったと感じました。国立のウエーブというのはそれはそれで(笑)。それを見て
一番喜んだのはスポンサーでしょう。

加えて3チーム各選手のプロ意識と、的確なジャッジもとても良かったのではないか。
やれフォーメーションだ、走力だ、という高度な(いや基本ですが)ディスカッション
以前にウズベキスタン戦では審判がアジアレベルに戻ることのなどの方が大きな
インシデントとなりうる事実に、ファンも心の持ちようを直ぐにでも変えておいたほう
が良さそうだ。

2009年5月28日木曜日

バルサ三冠達成!

チャンピオンズリーグ優勝おめでとうございます。
今日はバルサを褒めまくり、ということで。

イニエスタ
彼についてはこのブログで何度も触れてるが、現代の奇跡としか言いようがない。

シャビ
イニエスタの奇跡の舞台を演出しているのは彼だ。誰もイニエスタをまねることは
できないが、シャビはチームにイニエスタが必要とする間を提示してみせ、それに
よってサブのメンバーがポジショニングの学習をできるようにするとともに、
イニエスタからのフィードを受けたり、イニエスタの逆サイドで決定的な仕事を
こちらもいとも簡単にこなしたりもする。彼らの間で不用意なパス交換がほとんど
ないことがそれらを象徴的している。

華麗なるスリートップ
アンリ、エトー、メッシのスリートップに関してももはや何も言うことはないだろう。

ダニエウ・アウベス
正直セビリア時代にはここまで献身さと戦術眼を伴った選手だとは思わなかった。
サイドは違うが、ブラジル人の攻撃型サイドバックというとロベルト・カルロスを思い
出してしまうが、あと数年もすれば彼がその代名詞となる時代が来る予感がする。

グアルディオラ監督
新人の監督が国内トーナメント、国内リーグ、ヨーロッパ一の3冠をしかも冬季の
戦力補強なしで成し得た、というのは過去例がないのではないか。自身もバルセロナの
カンテラ出身であり、頭の天辺から足のつま先までバルセロナ一色のこの監督は、この
成果を信じていたかのように、リーグ開始前に献身さ、戦術眼、選手に見合った出場
機会などを軸に大幅な選手移籍を行う(ロナウジーニョ、デコ、ザンブロッタ、
ドス・サントスなどを放出し、ダニエウ・アウベス、ケイタ、ピケ、フレブを獲得)。
加えてセルジ・ブスケツら何人かをカンテラから引き上げた後は、チームを固定し、
選手間の相互の戦術理解一本に焦点を絞ったことが功を奏した。その過程の中で
エトー、グジョンセンには起用条件を明示して残留の判断を選手側に委ねることも
行った。これなどは経営者目線からするとなかなかできることではない。

プジョル
今の体型からは想像できないが、少年時代にひ弱だった彼は木組みの台にタイヤを
載せて引くことにより、頑丈な体型を作ったという。グアルディオラの選手登用の基準
は戦術眼だが、それとは別に明確に「献身さ」=「キャプテンシー」という枠が1枠ある。
そしてそれは彼だけが望んでいることではなく、スペイン国民が望んでいることだ(彼は
スペイン代表チームのキャプテンでもある)。これから引退までの間彼を上回る能力を
持つディフェンダーがチームに参加することは多分にあるだろうが、彼はそれでも
チームキャプテンとしてあり続けるだろう。

マルケス
単に好きな選手なので(笑)。チームが異なれば絶対的なアンカーとしてビジャ・
レアルのマルコス・セナのような活躍ができると思うのだが。あと怪我が多いのも少々
問題か。鹿島のマルキーニョスと同様「この人いい人そうに見えるイレブン」には
ぜひとも選びたい。

2009年5月25日月曜日

見えてきたJ2の勝ち方:今節のサッカーより

昨日をもってJ2の第1クールが終了した(今シーズンは1クール総当り17試合、
3クールの計51試合)。4位甲府と5位水戸は勝ち点差がすでに6もあり、特定
の上位チームが勝ちぬけている様相がわかる。これは得失点差からも裏づけされている。
上位3チームの得失点差は試合数を上回っており、これは各試合平均して必ず1点以上
差をつけていることになる。

2005年の甲府(J2 3位ながら入れ替え戦で歴史的大勝を収めJ1昇格)、昨年
の広島の例のように、圧倒的な攻撃力を武器にしたチームは多少の守備の弱さを
もろともせず勝ち続けられる土壌がもともとJ2にはある。さらに昨年くらいから
「前線からの守備」が世界的な傾向になっていることも合わせ、このふたつを
組み合わせることがJ2レベルでの一つのチーム作りと言えそうだ。MFの香川、乾
という日本代表クラスの2人が得点ランキングの上位にいるというセレッソ大阪が典型
だろう。

今シーズンの昇格組みである広島と山形のJ1での活躍を見ると、もともと予算に
厳しい中揉まれているのでタレント主義でない、戦術型のチームが出来上がるという
言い方もできるかも知れない。数年後J1チームの顔ぶれがどのようになっているか
楽しみだし、ひょっとしてそのことが日本サッカーを大きく変えているかも知れない。

2009年5月22日金曜日

バランスを保つもの:インターネット社会の新たな情報統制

サーチナというサイトをご存知だろうか。日中の文化を越えた相互理解を理念とする
情報ポータルサイトで、韓国の情報も取り入れながら、一つの東アジアリージョンの
情報共有を目標としているようだ。金融情報や企業情報のニュースサイトとしての
使命とともに、オリジナル言語のブログ記事などを日本語に翻訳して、日中間の文化
障壁や精算問題などもさらりと触れていてる。後者の繊細な内容については一定の
「リズム」で紹介されている。多いパターンとしては以前は問題に対して否定的だった
けれども、今はとても肯定的だ、というトーンだ。特によく日本は「褒められる」側に
あり、まるでいまはやりの「褒めサイト」を見ているかのような気分になる(余談だが、
褒めサイトをまだ試したことがないかたは是非一度、へたなセラピーやマッサージより
利きます!)。

正直言えばサーチナのこのような論点(というよりは情報報道の取り上げ方)が
ジャーナリズムとして正しいものなのかはわからない。ただ、情報の鮮度が
インターネットのスピードと同等である時代に、どちらの側に立つでなく「だそうだ」で
終わりがちな従来のマスコミの保守的なあり方よりは(皮肉な例えたが)攻撃的な改革
意識だ。

一方でこの手法はサーチナだけかといえばそうでもなく、日中間の問題に絡んで日本側
にも事を荒立てないようにする一定のコンセンサスが引かれる場合があるようだ。

今週の火曜日と水曜日にかけてACL(サッカー・アジアチャンピオンズリーグ)の
グループリーグ最終節が行われた。鹿島はアウェーで中国の上海申花との対戦。試合中
フォワードの興梠が悪質なファールを受け、救急車搬送される事態となった。また
例によって選手に対するレーザーポインターによる攻撃がスタンドからなされたとも
いう(画像では未確認)。

改めてプレイバックを見てみると、前者と後者は分けて捉えるべきと思う。今プレミア
リーグは中国での放映権を重要な市場と見ていて、大量のプレミアリーグのコンテンツ
が中国に輸入されている。そこから中国サッカースーパーリーグの選手のプレーは
かなりプレミアリーグの影響を受けているように伺えた。ただ、一連のクリスチアーノ・
ロナウドに対する執拗な足元を狙うような悪質行為をも輸入してしまっているようだ。
上海申花にとっては勝つことが上位トーナメント進出の最低条件の中、イエローカード
覚悟で全ての相手選手の足元を「狙う」指示がゲーム当初から出ていたのは明らかだ。
開始早々ボールではなく足元にタックルが行っていたので。非常に悪質だが、文化に
対する感情からくるものではなく、数年前まで中東の選手が大げさにファールを
アピールしたのと同様の、一種の「はしか」のようなものだとも考えれる(一方で
国際化という形で治療しないと悪化する可能性もあるのだが)。

だが、一部の日本のサッカーファンはそのようには捉えていない。下火になったが現在
でも本件に関して対中批判に転嫁している書き込みやブログが続いている。

被害を受けた側であるはずの鹿島や日本の一般的なメディアは本件に関して比較的
静観を保っている。ちなみに興梠は日本代表フォワードなのだが、その選手の怪我を
報道していないスポーツニュースすらある。これは一つの瞬間的な民意感情と異なる
ところに軸を置いた一つのコンセンサスといえるのではないかと思う。ちなみに骨折
ではなかったものの、まだ負傷状態にあるはずの興梠は昨日、5月から6月にかけて
行われる一連の日本代表の各試合の登録(候補)選手26名に選ばれた。これによって
上記のファンの批判は出場できない恐れのある選手を選び、自分の贔屓選手を
選ばなかったことへの岡田監督へと向かい始めている。全くファンって奴は…(苦笑)

先のサーチナには「スポーツ」のタグがない。将来日本と中国はお互いのプロスポーツ
を公平に評価できる時代が来るのだろうか。それとも特定IT技術の秘匿方向と
同様、ファイアウォールの内側に仕舞われるべきもので、永久に双方の国民感情を陽動
させる恐れのあるパンドラの匣なのだろうか。私の半分の興味はそこにある。

2009年5月19日火曜日

リーグ優勝よりもCL:今節のサッカーより

プレミアリーグの優勝がマンチェスター・ユナイテッドに、リーガ・エスパニョーラの
優勝がバルセロナに決定しました。

今節引き分けても優勝という状況で、ユナイテッドはホームですでに単独4位が決定
しているアーセナルとの1戦。両チームとも中盤でのチェックでは厳しさを見せるもの
の、0-0での引き分けにて終了。それでもファーガソン監督にしてみれば過去
10回の優勝のうち、ホームで決めることができたのがたったの1度だったとのこと、
まずは安堵の様子。同じチームの監督を23年務め、うち11回リーグ優勝というのは
サーの称号に本当にふさわしいものだと思う。

バルセロナのリーグ優勝はさらに肩透かし的に決まった。2位のレアル・マドリードが
引き分け以下なら優勝という状況で、土曜日そのレアル・マドリードが来シーズンの
チャンピオンズ・リーグ出場(4位以上)を賭けるビジャ・レアル相手に2-3で敗退し、優勝が
決定。これを受けて急遽日曜日のマジョルカ戦アウェイを完全な飛車角抜きで臨んだ
グアルディオラ監督だったが、ホームの意地を見せたマジョルカ相手にやはり1-2で
敗退。膨大な量のカードを配給することで有名なイトゥラルデ・ゴンザレス主審が、
終了間際に極めてフェアにエトーへのPKを取り、それをエトーがはずした、という
一連のシーンが一番の見せ場だったかも知れない(しかし、ここぞとばかりゴンザレス
さんをアップにするスペインのカメラセンスって一体(笑))

ユナイテッドもバルセロナも、もう気持ちはチャンピオンズリーグ最終戦に行っている
ようだ。ユナイテッドにとっては2年連続世界制覇に向けて負けられない一戦。
バルセロナはリーグ優勝、国王杯優勝と合わせたスペイン史上初の3冠に向けて。
ガチンコ対決は5月27日ローマ、オリンピアスタジアムにて。

2009年5月11日月曜日

開腹からの回復:今節のサッカーより

いやぁ、うまくすると今回はバルセロナ優勝おめでとう、とくるはずでしたが、今節では
決まりませんでしたね。解説のミシェル宮澤さんの通りで、3-1とした段階で油断
したというよりも、「しびれる」試合が厳しいスケジュール続く中、むしろ今の
選手達には90分フルで走りきる体力は残されてなかったようだ。ただ、残り3試合で
勝ち点1、というのは絶対的に優位なのは変わりなく、水曜日のビルバオとの国王杯の
決勝戦に順当に勝つとすると、次節もモチベーション高く…ってMARCA.COMを眺めていたら
イニエスタが直腸を損傷で何センチ切るかわからないってどういうこと?スペイン語から
英語への変換
の段階ですでにおかしいんだけど(...a breakage in the
previous rectum of the right leg...)、想像力を
働かせると盲腸ということか?
少なくとも、国王杯には出れない模様だが、ひどい疾病や損傷でないことを祈る。

開腹手術を経験したことがある人ならわかると思うが、術後は人間に「気」というもの
が本当に備わっていることを体験させられる。特に自分の場合には腹直筋を切断した
のでそのように感じたのかも知れないが、自分を作り上げていた物質的なもの以外
の何かが抜け出てしまったように感じた。なにかこうヘラヘラした感じたというか、
まさに「気が抜けた」状態に見舞われたのだ。

一般的な盲腸の手術だとすれば筋肉損傷もほとんどなく、内視鏡手術で済むので
肉体的ダメージは少ないかも知れない。でも「気」はどうなんだろう。気の抜けた
イニエスタのプレーというのはどうにも想像できないけど。

2009年5月3日日曜日

もしもバルサが会社なら:今節のサッカーより

伝統のクラシコがよもやの2-6でバルセロナが一方的に勝利という形で終わった。
フアンデ・ラモス監督にはバルセロナ対策に2つのお手本があった。引いて守るという
チェルシー(CL準決勝第1試合:0-0)案をとらずに、既報通り攻撃的な素早い
チェックでカウンターというバレンシア型を採用した。先取点を取るもののその後3点
返され、さらには2-4となった段階で、選手にもサンチャゴ・ベルナベウの観衆にも
もはや戦意が残ってなくて、後の2点はおまけのようなものだった。結果として
ノーガード的な戦いに終わってしまった試合、フアンデにとって予想外のシナリオでは
なく、想定されたうちの最悪のシナリオだったに違いない。攻撃の軸を相手の弱点の
左サイド(アビダル)に当て、ロッベンとセルヒオ・ラモスで右サイドから攻めあがる
ことは有効だったが、結果としてバルセロナの左の攻撃スペースをアンリに受け渡して
しまった。ちなみにレアル・マドリードの各得点の直後(4分後、2分後)に
バルセロナは得点を返していて、その2点はともにバルセロナの左サイドから
アンリによる。自身のヘディングで2点目を決めて、直後にアンリに決められた
セルヒオ・ラモス。しかも前半の早いうちに1枚イエローカードをもらってしまい
アンリへフィジカルなディフェンスができなくて易々と抜けられるシーンが何度も
あった。つまり試合はまるでセルヒオ・ラモスと心中をしたような呈そうだった。

同様に世界を代表する超攻撃的右リテラル(サイドバック)である、相手方の
ダニエウ・アウベスは試合が「成立っている」間は非常に静かだった。非活性な逆
サイドのため画面にはほとんど映し出されなかったが、レアル・マドリードのアビダル
狙いがわかった後バルセロナはセンターラインの左よりのイニエスタ、プジョルを
より左サイドの守備に充てていたのは見て取れたので、ダニエウ・アウベスはより
センターの守備意識でポジショニングに努めていたことが容易に想像できる。簡単な
事のようだがチームが個人主義や形骸的な機能主義に囚われている状態では相互理解に
基づいた状況判断は生まれないし、リテラシとしての戦術眼が低いと、相互理解の場の
次元も高まらない。試合が「崩壊」した後、解き放たれた彼はサイドハーフ付近で
例によって高いボールコントロールで相手ファンをいらいらさせ、追加の2点のビルド
アップにも貢献した。

バルセロナのグアルディオラ監督の頭の中にはバルサの選手であるための要件として
相互理解力とそれを支える戦術眼を重要視しているのは明らかだろう。形骸的な
機能主義に陥っているのは他のサッカーチームだけではなく、世界的な企業の傾向かも
知れない。グアルディオラ思想の中で選手が学んだことから、企業の営みに活用できる
ようなポイントを探しだすことは、以前、日本人がオシム前代表監督に求めたような
「組織改革のためのネタ探し」と同程度以上には価値があることかも知れない。
理想のマネージャ像へのアンケートにグアルディオラの名前を挙げる人なんて日本では
まずいないだろうけど。もしリーガだけでなく、チャンピオンズリーグ、国王杯の
3冠を達成したら、多少票は増えるのかな。

2009年4月26日日曜日

あれやこれや:今節のサッカーより

ブログ的には分けた方がいいのだろうけど、なにせ不精で(苦笑)。

10試合出場停止
第32節ののリーガは4月22日のミッドウィーク開催。2位のレアルマドリードは
ホームでヘタフェ戦。試合はよもやの展開で途中出場のグティの神がかり的なミドルで
86分に同点とした後、ロスタイムのイグアインのゴールによりかろうじて逆転勝利
した。終始アウェイのヘタフェに掻き回される中、「事件」は同点後の87分に発生
する。レアルマドリードのぺぺが、抜かれたエスケーロをペナルティエリア内で後ろ
から押し倒しただけでなく、倒れたエスケーロに2発のキックを見舞わせた。1度
エスケーロを気遣うが、当然のようにその後ヘタフェの選手に囲まれ、画面には
写らなかったが、その後密集の中でさらに1発あったとする報道もある。
その後の第34節のクラシコを前にして、カシージャスとカンナバーロの2人で
AS誌のインタビューにも答え、ディフェンス面の準備万端さを協調したレアル
マドリードだがそれはチーム内の動揺の裏返しだろう。
しかし10試合の停止って…。その後のインタビューで、本人は「今はサッカーを
やる気にならない」と答えたようだが、チームにすれば来期にまたがり9月くらいまで
試合に出れない選手をどのように扱うか、真剣に考えざるを得ないだろう。場合に
よってはユベントスに復帰の決まったカンナバーロの穴も含め、全く新しいコンビの
ストッパーで来シーズンを臨むことになりそうだ。

キレキレのイニエスタ
同節からバルセロナはアングリル(今シーズンから始まった連続した強豪チームとの
マッチング)に入り、セビージャとホームで戦った。自ら先制ゴールを決めた
イニエスタの大活躍により、4-0と戦前の好試合の予想を裏切る大勝で終えた。
イニエスタについては、下記の某携帯サイトへの書き込みが全てを物語っていると思う。
「イニエスタは万能ではない。全能ですね。」

Jリーグの今後をあり方見た
4月25日の磐田-京都戦(3-2で磐田が勝利)は、正直「流し」で見ようかと
思っていたが、両チームの非常に運動量の多いサッカーに目を奪われた。以前より
体型の点での日本のサッカーのスペイン化的な方向性についてここで書いているが、
特に前半はスペインサッカーのお株を奪うかの素早い展開でとても楽しめた。京都に
ついては精度の面で、磐田については素早く攻め込まれた際のディフェンスの対応
面で、かつ双方とも後半とのペース配分で課題を抱えているように見えるが、改善
できるポイントなので、今後も期待できそうだ。
にしても、スタート時のグダグタの状態から、イグノ加入後2連勝とした磐田に見る
ように、最近よく言われる韓国人ストライカーと日本のパスサッカーの相性の良さは
一理あると思う。チームのアジア人枠をもう1人増やすと、我々はさらに
スペクタクルなサッカーを楽しめるかも(いつまでたっても日本人ストライカーが育成
されない等、問題はあるだろうけど)。

「涙がでます」
第33節のバルセロナは一転してアウェイでバレンシアと2-2の引き分け。連勝記録
は7で終わった。バレンシアのホーム、メスタージャのハイビジョン放送はいつ見ても
神々しい。サンチャゴ・ベルナベウが「壁」、カンプ・ノウを「歓」とすると、
メスタージャは「光」だ。複雑な展開ゆえ、試合のMOMはと聞かれると即答は難しい
が、放送としてのMOMは解説の安永さん。ちょうどスペインから取材帰国直後という
ことで、レアルマドリードのファンデ・ラモス監督が次節のクラシコにどのように臨む
か、という話題から入った放送はバレンシアがどのようにバルセロナの攻撃を防ぐかに
焦点をあて、事実ウナイ・エメリ監督によって事前に計算された全員守備から
カウンター、という戦術通りに試合が進む(まぁ、2年前までのバレンシアであれば
「らしい」展開だ、というだけかも知れないが)。比較的バルセロナ寄りの進行が多い
WOWOWだが、この試合の放送は完全にバレンシアのホームだった。前半24分に
イニエスタとメッシのワンツーによって芸術的なゴールを決められると、「ここまで
頑張ってもダメか」感を伝え、その後43分にマドゥーロ、45分にパブロ・
フェルナンデスの連続ゴールで逆転した際に安永さんが繰り返し漏らした言葉がそれ。
こちらまで泣きそうになった。テレビでのサッカー解説に与えらる行間には、感情
むき出し形と、冷静解説形があると思うが、戦術を芸術として表現できるスペースが
与えられるというのはさすが専門性の高いWOWOWならではというところだろう。
ちなみに、試合後のエメリ監督は「満足しているが、できれば3点目に向けて後半
もポゼッションを高めたかった」とコメントしている。残念ながら(?)、アンリを
温存し、イニエスタを左WF(前節はメッシに替わり右WFで大活躍)に置いた戦術が
機能していなかった前半から、アンリを投入し、イニエスタを後ろに下げて通常布陣に
戻した後半にバルセロナが息を吹き返したとも見て取れる。今シーズンのバルセロナは
やはり圧倒的に強いのだ。
追加として、放送のハーフタイム中の特集は2004年当時のメッシ(16才)と
ボージャン(13才)。カンテラ(下部組織)で修行中の2人の対談はとても貴重な
ものになると思うので、再放送等お見逃しなく。

2009年4月20日月曜日

先に流した涙ほど?:今節のサッカーより

ご承知の通り、浦和が若手とブラジル組の活躍で好調だ。特に17才の原口がFW
ポジションながら(登録はMF)センスの高いサッカーを披露していて、将来がとても
楽しみだ。前節の名古屋戦でチーム最年少ゴールを踏まえて2試合連続先発となった
今節も、少なくとも2回は決定機を作るなど、お膳立てというFW能力の半分の部分は
大部完成されている感すらある。今節の京都戦ではもう半分の部分、得点を取る作業
では結果をだせず、58分には高原と交代させられてしまったが、その後が今日の
話題。
前半のエジミウソンの得点で1-0とし、しかも試合の流れはその点差以上に優位
だった浦和だが、交代を告げられた原口はまるで、自分のゴールが決まらずにチームが
負けてしまったかのように、悔しさと自身へのふがいなさを顔いっぱいにためて
ベンチに下がっていった。フィンケ監督はとても彼を温かく迎え、それはベンチに
座ってからも、チームメートなどによって続いたが、テレビの画面は顔を覆い、下を
向いたままの原口を続けて映し出していた。
このシーンを見て、リーガエスパニョーラのある試合の1シーンを思い出した人も少なく
ないのではと思う。
昨シーズン、バルセロナの最年少ゴールを塗り替え(17才5ヶ月)、カップ戦を含め
35試合に出場し10ゴールを決めたボージャンは、今シーズンはフレブの加入や
イニエスタのWF起用もあって公式戦の先発としては全く使われない日々が続いた。
そんな彼がグアルディオラ監督の元、初先発となったのが2008年11月23日の
ヘタフェ戦。メッシの負傷でやっと得たチャンスも空回りか、センターへの切り込みを
狙ってはボールが繋がらず、を繰り返し結局55分には休養で先発をはずれていた
アンリと交代させられてしまう。本当にいいとことなしで終わってしまったボージャン
は顔を真っ赤にピッチをあとにし、ベンチで本当に涙を流した。
後にグアルディオラが、チームに対して「メッシのようにプレイをするな」と発言した
時、当時はメッシ批判ととられたが、最新のインタビューでは「メッシのような唯一の
存在を真似ようとしてもしょうがない」と言い換えている。今思えばこれらは
ボージャンのことを指していたのかも知れない。

良く、涙の数ほど…、という例えで、できるだけ早いうちに涙を流す思いをした方が
良いとされる。

ボージャンはその後のインタビューで「バルサの21人(22人?:リーガ
エスパニョーラではシーズン出場選手は事前登録制で25人からGK登録を抜いた人数。
自分の分を1名抜いているのかも)に入るだけでも名誉なことなんだ」と自身の控えの
立場を理解するコメントを残している。最年少ともてはやされ、翌年5~6番目のFWで
ある現実をつきつけられ、失敗し、涙を流し、それでも立ち直ろうとしている
ボージャン。そこからすると、原口の「涙」は少々早すぎやしないか。

今シーズンの浦和からすればACL出場もあるだろう。高原が復活し、ローテーション
のための第3フォワードが来ることだってあるのだ。その時に、自分のコンディション
とは別に出場機会が少なくなったとき、あせり、さらに努力し、成長し、という時に
耐性が無いようでは困る。17才の若者にそのような期待の掛け方は間違っているかも
知れないが、将来日本を代表する逸材への苦言として許してほしい。

2009年4月15日水曜日

初物には止まらない:今節のサッカーより

またもやレギュラーシーズン以外からになります。
AFC、CL、レギュラーシーズン共に大量得点が多かった今節だが、やはり
バルセロナ-バイエルン戦(バルセロナが4-0で勝利)を取り上げないわけには
いかないだろう。

試合の鍵となったのは、一言でいうとバイエルンのセンターバックの出来、特に左側の
若い(19才)ブラジル人プレーヤー、ブレノの動きだった。チェックをあせり、ある
時にはボールウォッチャーになり、その混乱がそのままバルセロナの得点シーンへと
つながっていったのだから、本人も試合後相当ショックを受けたのではないだろうか。

ただ、言うまでもなく、CLの8強チームの一角をそこまで貶めたのは、バルセロナの
異質なまでの連携力と個人技の高さであろう。
といっても、バルセロナがものすごく引き出しの多いチームかというとそういうわけ
ではなく、連動の速さがあまりにも異質なので、精神的に「ゾーン」に入った状態の
試合中の選手にとっては、経験上からくる本能的な対処ではもはや追いつかないもの
を見せ付けられる感覚なのだろう。そのあたりが、リーガでは決して毎試合4、5点を
取るわけではないことの理由かも知れない。つまり、ある程度冷静になれば予測と
対応も可能ということで、今回バイエルンになかったのはその部分だ。

ここで素人の目からも「定型化」している、と見えるバルセロナ右サイドの攻撃
パターンなどの分析を少々。

(1)メッシの鋭角にセンターへ切り込むドリブルとその後の個人技
「お前は本当に素人だ」という声が聞こえてきそうだが、実際メッシ自身が一時期
バルセロナが低迷している時期に、自分の個人技をもっと利用すべきと発言している
ことは、彼の「個人技」はチームプレイの立派な基点となっていることの表れだ。まず
ドリブルがうまい彼に対して、チームディフェンスが準備できていない状況でむやみに
タックルに行くのは愚の骨頂だ。もしその「愚」を試みるものには重心の低い
ドリブルで抜けてシュートを打たせるか、ファールを犯すかの究極の選択肢を選ばせる
ことになる。普通の相手は、その愚行を犯さないとわかっているメッシはサイドへの
上がりを待つための間を、自分が人よりも少し多く稼ぐことができるから前述のような
発言になるのであって、決して鼻高々なわけではない。
この時点でセンターにはエトー、左サイドにはアンリがあがっているので、メッシへの
チェックは左CBと左SBが行う、と考えてくれるとバルサは右SBのダニエウ・
アウベスのスペース占有がより簡単になる。そう、リーガ的な回答としてはメッシが
鋭角なドリブルを始めたら、ピボーテ(ボランチ)位置が下がって左CBと一緒に
チェックする、のほうが正しい。ただしそれとて、シャビ、グジョンセン、そして
イニエスタといった攻撃型ミッドフィルダーをチェックしながらではあるのだが…。

(2)ダニエウ・アウベスの戦術眼と精度の高いクロス
(1)の段階でセンター、逆サイドのエトー、アンリへと流れていくのと同じ割合で
WFへと豹変したダニエウ・アウベスが使える。ただクロスがうまいだけのSBには、
ポールに追いやって、クロスを打たせたほうがディフェンスの準備も間に合って良い、
と考える守備感がひょっとしてはやりかも知れない昨今、手前からどんどんミドルを
うってくるダニエウ・アウベスの存在はパワーゲーム的だ。だが、挑発にのって、左
CBが彼のチェックに戻ると…。

(3)怒涛のアタッキングサードと真のフォーワードの2人
ゲームによってはフォワードもつとめる攻撃ミッドフィルダー陣はまだ、ここまで参加
していないのだが、ここでアタッキングサードとして、翻弄されるディフェンダーの
間を狙いはじめる。だが、同様に2人のフォーワードもここまでだまっていたかと
いうと、そうではなく細かな裏への動きを左サイドで繰り返しているのだ。2対2
のところに、アタッキングサード1名加わるだけで数的優位が完成する。バルセロナの
本当に凄いところは、もぐらたたきの時間切れ間際のような全員が飛び出してしまう
ような間の悪るさがないことだ。まるで人の強烈シュートがはじかれたおこぼれを
狙うほうがよっぽどおいしい、とわかっているハイエナのごとく。。。


で、しかし、先の通りバルサが毎試合大勝しているかというと決してそうではない
ところがミソ。メンバーを落とすと連対率が落ちるとはいえ、リーガの中では研究
され、対処できているのも事実だ。だからバイエルンにもセカンドレグではぜひ意地を
見せてほしいと思うのだ。

2009年4月7日火曜日

下半身命!:今節のサッカーより

2週つづけて、厳密な意味で「今節」でないですがご容赦ください。

さて、3月28日のホームでのトルコ戦に続き、4月1日のアウェイでの同対戦にも
ロスタイムにて逆転ゴールで勝利したスペイン。これにて代表チームは11連勝、
31試合連続無敗となった。16世紀の大航海時代に準えた無敵艦隊という冠が以前は
少々重荷だったスペインも、その名に恥じない名実ともに世界一のチームとなったと
いえよう。

この連戦ではセスク・ファブレガスとイニエスタを怪我で欠いて臨んだ上、4月1日の
試合はビジャも外したスペイン。画面から精神力がもやもやと白煙立つような2008
EUROのミラクルを演じたそのまま、さらにチーム力での向上が見られるトルコの
素早いチェックに苦しみ、試合内容としては正直首をかしげた方も多かったのでは
ないでしょうか。それでも勝てたスペイン、どこまで勝ち進むのか、本当に楽しみ
です。

私なりの強さの分析を2つほど。
一つは、比較的独特な4-1-4-1のフォーメーションコンセプト(クワトロ・
フゴーネス)の継承。最近は露骨に攻撃型中盤が4人横にならぶ時間は少ないん
だけど、走力と体力とキック力に長けたアンカーとワントップの間で最大限の創造性を
委ねられて4人のミッドフィルダーが動き回るコンセプトは選手が入れ替わっても
ほとんどブレがない。まぁ、今回、リエラは「はまっていた」とはいえないから
言い過ぎかも知れないが、一度創造性が高いチームが完成すると、もともと型に
はまっていない分、引き出しが多くなり、それが試合の中で耐性につながっている
のかも。いや、もうちょっと整理が必要だな、この論点は。またいつか。

もう一つはスペイン選手の下半身の強さ。それも競り合いの中でのボールキープ、
といった類での比喩表現ではなくて、単純にバスケットボール、競輪やスケートの選手
かのように瞬発力と持久力を兼ね備えた太い下半身を持っている。同時期に北朝鮮
-韓国戦を見ただけに余計にそう感じるのかも知れないけど(テセは合格ですね)。
実は、国民の平均的な体型からするとスペインやメキシコあたりに日本代表躍進
への手がかりがあるかと以前から思っていたのだが、フェルナンド・トーレスや
セルヒオ・ラモスのあの大乃国のような体型(上下のバランスという点で)を
見るたびに根本的に育成段階で何かが違うことを思い知らされる。
一度、フィジカル担当の育成コーチをリーガでの指導経験者に頼んでみては
いかがでしょうか、協会殿。

2009年3月29日日曜日

悪童とルーレットの魔術師:今節のサッカーより

まずは、日本代表、勝利おめでとうございます!

内容については、前半が良かったという評価と、後半に改善された、という見方の二つ
あるようだけど、私は前者。前半の飛ばしすぎと緊張の緩みで特に後半20分以降
は両チームとも「間延び状態」だったような気がする。内田のまだまだ伸びしろを感じ
させる攻撃参加はあったけど。今まではそのような状態で、ふと失点してしまう
ケースが度々あったが、昨日のディフェンスの集中力はとても高かったと感じた。川口
ほと奇抜さやキャプテンシーはないけど、こういう展開での楢崎はとても安定して
いるので、安心だったし。

前半が良かったといっても、ミッドフィルダーまでの話。フォワードに関しては、正直
あの両チームの素早いボールタッチの試合展開についていけない技術力の低さを
露呈してしまったかのようだ。バーレーンのディフェンダーは明らかに日本フォワードの
ファーストタッチ後の、体から一度離れるボールを狙いに行っていた。しかも自分達の
背の高さを警戒して、日本がグラウンダーを多用するのも読んでいた中で。

で、一言言いたい。

「大久保、悪童の心を取り戻せ!」

試合開始後、挨拶代わりにとりあえず目の前のディフェンダーの顔めがけて打って
おくような、あの攻撃心はどこへいってしまったのか、という感じだ。いや、審判もマーク
している「輩」なので、本当にそうして、一発レッドカードをもらわれても困るんだが、
少なくとも昨日一番の活躍シーンが内田へのワンタッチでのボレーパス、というのは
ないんじゃない?マジョルカでアランゴ達と定位置争いをしていたころのあの野心
むき出しの自分、という引き出しをもう一度出してきてもいいんじゃないのかな。


他方、遠藤のあのマルセイユルーレットならぬ「大阪ルーレット」には相変わらず鳥肌
が立った。ガンバファンの間ではその後のパスまでを含めて「ヤットルーレット」だ
そうだが、相手がボール奪取に来たときに360度回ってその前にぽっかりとスペース
が空くのを見るだけで即手羽先一丁分だ。岡田監督の当初掲げていた「接近」が近代
サッカーの立派な攻撃の一部であるのを日本で具現化している貴重なプレーヤー。
ちなみに某キー局付きサッカー解説者は「だいたいサッカーで接近する、なんて
言葉は聞いたこともない」と就任当初の岡田監督を揶揄していたが。世間は
忘れているかも知れませんけど、まだまだしばらく思い出させられることになりそう
ですよ。

2009年3月28日土曜日

本日バーレーン戦キックオフ

いよいよ本日バーレーン戦ですね。世間でも話題になっている年間2勝2敗という
結果は定量的な実力の差が拮抗しているというより、プロレベルでのこの少ない点の
取り合いのスポーツは、試合の質を決定づける要素がとても多く、絶対、というものが
少ないことのいい例だと思う。
逆にその考え方で見てみれば、FIFAランキングなどの順位付けは、過去の戦績の
見方でしかなく、一意に現在の力を示すものではないということだ。著名な地域の
国際Aマッチ相当大会では前哨のリーグ戦と決勝トーナメントの組み合わせで構成
されている。前哨トーナメントからノーガード的に臨んで勝ちあがれるチームの
ランキングは高くなり、一方最終的に決勝トーナメントに出場することを目標としている
チームが、ラッキーにも優勝したとして、それほどポイントを稼げないケースも出てくる。
で、当たり前だが、FIFAランキングの順位よりもトーナメント優勝の価値の方が
ずっと高い!なので、マスコミには冠にFIFAのランキングをつけてのチーム紹介や、
ましてやランキングを使っての「格付け」的表現は、国民・選手への間違った陽動
行為となりかねないので、ほんと、止めてほしいんですが…。

ところで、試合前のマチャラ監督のインタビューからは、バーレーンは4月1日に開催
されるもう1試合のカタール戦とセットで今回臨んでいることがうかがわれる。もちろん
現在戦っているグループ1で2位以内に入れば自動的にW杯出場だけど、3位で
終わったとして、グループ2の3位とのプレーオフを経て、もはやオーストラリアの
いないオセアニア地区とのプレーオフに勝つ、という望みあるパスも残されている。

「ならば日本戦に手を抜くので、日本は楽に勝てますかね~」

はるばるアジアの東の果てまで来て、年間4度のうち2勝している相手に、すんなりと
負けてしまうと、プレッシャーや外部の批判などから、4日後に控えるさらに重要な
試合での選手のモチベーションに影響が出る。さて、どうするか。自分がマチャラ監督
なら日本戦に向けて3つの目標を与える。

「ディフェンダーは玉田、田中、大久保へのマークを徹底すること」
「ミッドフィルダーは相手パサーから相手フォワードへのパス供給のカットに集中すること」
「フォワードは前線に残り、常に良いポジショニングに務めること」。

内容に関する細かい話は置くとして、重要なのは結果如何にかかわらず、この3つの
点を日本で達成することが、バーレーンサッカーの現状と未来にとってとても大切で
あることを選手に信じこませること。結果、日本のミッドフィルダーの得点やセットプレー
での失点で0-3で負けるかもしれないけど、目標を達成する限り、監督として選手に
賞賛を与える。そして知る限りではイランやイラク、UAEなどの大陸的な国民性と違い、
少数の国民でなりたつバーレーンにはそれ(状況判断や目的意識に重点を置く
考え方)を受け入れ、理解するリテラシーが備わっているように伺える。これは
プラスポイント。

「そのことと日本の勝敗は直接関係ないですよね」

だが、日本を含む東アジアの国民性は「一戦必勝」好みで、選手は各試合で常に
「点」でのプレッシャーを与え続けられる。ましてやグループトーナメントであるに
もかかわらず、冒頭に書いた試合要素の中に「一戦必勝」というメンタリティーを
押し付けられるのは、試合を始める前から不利を背負っていることになる。今回
さらにバーレーン側には心の安寧(ほかにいい言葉が浮かびませんでした)が
備わっていて、その不利が大きくなっている可能性だってあるのだ。

NHK BSの「世界のサッカー情報」などを見ていて思うのは、世界の著名選手や
歴史的選手は、自身の一瞬のプレーも自身やクラブ、チームが持つ時間軸の中で表現
ができること(たぶんに番組編集の仕方もあるとは思うが、それならば番組製作元の
ブラジル(?)のサッカー感がそうだということだ)。日本人のサッカー感にはプレイヤー
にも見る側にもまだそこまでの高い意識が育っていないし、そのことが代表選手を萎縮
させてしまっている「だけ」なのかも知れない。

かたや、野球はというと、日本の野球感の中に、プレーオフ制の大幅導入や、WBCの
感動、米国大リーグへの理解、巨人一極集中からの脱却などによって個々の選手にも
時間軸を理解した次次元の戦術眼が芽生えてきはじめているように見える。名将星野
監督の「失敗」を、一戦必勝スタイルの終焉とも捉えられる。それも急激な変化であり、
野球そのものの歴史の長さとは関係がないことも重要な点だ。

オーストラリア戦後の段階では、まだまだ代表を巡る日本人のサッカー感に「一戦必勝」
意識が根強いことが示された。だが、大トーナメントであるJリーグも開幕し、AFCでは
日本勢もほぼ順調に勝ち進む中、「8試合のトーナメントの中で終始安定して順当に
勝った平均的な試合」と後に見られるような試合を是非是非見せてもらいたいと思う。
そのことによって、後に「一戦必勝」の呪縛から選手や関係者が解き放たれることが、
勝ち点3と同等に重要なんではないだろうか。


でも、今日に限っては勝たなきゃ始まらないのだ。どうでもいいから勝ってくれ、と心の
奥底が叫んでいるような(笑)。


#テレビ朝日のサッカーへの報道編成スローガン「絶対に負けられない試合がある」
#というのを全ての国際マッチ報映機会ごとにジングル的に使うのはどうも
#いただけない。論理的にはテレビ朝日はW杯優勝でも狙うのか、ということに
#なるし(笑)、あとは正直…(これがテレビ朝日の本論だろうけど)「悲劇」「歓喜」を
#日本の代表サッカー応援の軸とすることは、もはやマスメディアとしての現在の
#多様性への追従の悪さを、典型的に露呈しているように見えるのだけど。このあたり
#はどこかでもう一度。

2009年3月23日月曜日

モンテディオへの期待:今節のサッカーより

4バック、しかもサイドバックによるアタック参加が全盛であることに、(好き嫌いは
別として)異論のないところでしょう。加えて、ドリブラー受難の時代でもあるので、
ボランチがボールを維持している間にサイドが駆け上がり、そこへパス、そこからの
クロスというのが、今の攻撃基準の一つ。

J2時代のモンテディオのサッカーはダイジェストでしか見たことが無く、正直サイドの
クロスからトップへ、という得点ラインが主体のイメージで、それは今シーズンの初戦
(対:磐田、6-2で勝利)のダイジェストを見ても変わらなかったし、自他ともにクロス
が強みといっているので、そうなんだろうなぁ、という感じでした。つまりは今風な
攻撃型のチーム。

さて、実際前節の雪中の名古屋戦ホーム、今節のFC東京戦をそれぞれ通しで
見ての印象はサイドへ展開する前のボランチでのボールの持ち方に特徴がある
チームだなぁ、という点。遠藤や中村憲のそれとも微妙に違い、前にスペースが
あれば、自分でドリブルでどんどん持ち上がるような感覚。

そして、残念ながらその特徴がどこまでJ1で通用するのか…という課題が出てきた。
小林監督の言う「攻撃パターンの単純化」という課題。
J2時代は豊田、長谷川のタレント力あるフォワードが相手DFを押さえている間、
センターハーフにも十分なスペースが与えられ、常にフォワード、サイド、アタッキング
サードとしての自身という3つのオプションを選べたのだと思う。また、相手ディフェンダー
もつられてむやみにセンターハーフにチェックに入るケースも少なくなかったのでは
ないか。

J1のデイフェンダーレベルでは、危険性の少ない状態のセンターハーフへの
チェックは少ない。むしろパスの出し手の方をあらかじめ塞ぎ、パスカットから
カウンターを狙うのは(攻撃と同様に)今風の一定基準で、この1試合半はそのような
狡猾さにまんまとはまっているところを、何とかキーパーの清水が防いでいる、という
状況のように見える。いわば「させられているサッカー」の状態というべきか。

と、これはどこかで聞いたような話。世界レベルのサイドハーフ、自チームでは活躍
しているフォワード、人選に困るほどのセンターハーフを揃え、チームサッカーを
目指すも狡猾な引いた相手にてこずり、パスカットからカウンターをチャンスを与え、
失点してしまうって(苦笑)。

是非ともモンテディオにはこの課題をクリアしてほしいと思う。モンテディオには代表
にはない、時間という貴重な資源があるのだから。そして、タレント力の強い強豪
チームには存在も解決もないこの課題の回答を、ぜひ代表にも提示してほしいと
思うのだ。

J1残留「なんて」課題で満足してちゃ、だめですよ!